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Vo.1【一子相伝 なかむら】〜余韻の味わいに寄り添って〜





京料理「一子相伝 なかむら」さんに日本における食文化の在り方、そしてこれからの展望についてお伺いして参りました。


 和食が世界無形遺産に登録されてから、十年目を迎える今年。ミシュランガイドによってグルメ大国であることが明かされ、美食を目的に日本を訪れる外国人観光客も増えています。そんな中、「酔鯨」の真価を問い、日本料理にとって”最高の食中酒“であるという自負を確固たるものにすべく、酔鯨ハイエンドシリーズの純米大吟醸《DAITO》を抱え、綺羅星のごとく和食の名店が揃う夏の京都へ。


 訪れたのは、京都御所のほど近くに佇む「一子相伝なかむら」。創業は文政十年。店名が示す通り、代々一人の世継ぎのみに料理の技と心を伝え、一期一会の精神と日本料理の真髄を受け継ぐ老舗です。掲げられた暖簾を一歩くぐると、そこは別世界。街中の喧騒が静かに遠のき、凛とした静寂に包まれます。

 出迎えてくれたのは、六代目店主・中村元計さん。伝統と革新の料理で、日本人はもとより、多くの外国人ゲストを感動させてきた中村店主に、今回、酔鯨のプレミアムな最高級《DAITO》に合う一品をお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。

 まず《DAITO》の印象を訊ねると「飲み口が強くて、個性がある。香りが豊かで、甘さ、辛さもしっかり主張してきます。魚の味噌漬けなど、強い味にも負けませんね」と分析します。

6 代目の中村元計店主は、1984 年に東京水産大学(現東京海洋大学)資源増殖学科を卒業後、臨済宗総本山、嵯峨嵐山・天龍寺僧堂にて2 年間の禅修行を経たのち、24歳の頃に生家へ戻り料理人として研鑽を積み、父から「一子相伝」の味を受け継ぎました。また、日本料理アカデミー創設時より精力的に国内外での日本料理の発展に取り組まれ、2013年には京都大学修士課程、2018年には龍谷大学博士課程に進み、食農化学博士号学位を取得。日本料理における油脂成分のもたらす嗜好性の変化について研究を進め、伝統的な京料理を科学的合理性に基づいて探求し続けていらっしゃいます。


 酔鯨が生まれた高知の郷土料理といえば皿鉢料理。大皿で提供される料理は、すなわち大勢で囲む、酒が進む料理です。いわば「料理と酒、それぞれが高め合う料理。けれどここでは、それぞれの味が調和しながら喉の奥に消えてゆくような合わせ方がいいと思いました」。そう言いながら出してくださったのは、炭火焼の牛肩ロースを、みずみずしいレタスで巻いた一品。和牛の風味を上品に際立たせる、刻んだ晩白柚(ばんぺいゆ)のほのかな酸味、焼き林檎のさわやかな甘みは、その意外な取り合わせにも驚かされます。

 さらに少量加えた生姜とわさびの微かな苦味で、やさしい味わいの輪郭を鮮やかに。レタスの上には、とろりとソースのようにまとわせた米麹の自家製甘酒。カラリと揚げた細切りのジャガイモもサクサクと小気味よく、複雑な食感で愉しませてくれます。消えゆく美味の名残を惜しむように《DAITO》を一口。馥郁とした味わいとキレのある辛味が、洗練された京料理の淡味と相まった瞬間、押し寄せるような 口福感が。「心がけているのは記憶に残る料理。余韻が長い《DAITO》の味わいに寄り添いながら、香りや食感に気を配って組み立てました」と中村店主。伝統的でありながら、新境地をも感じさせる。そこには、お互いを引き立て合う革新のマリアージュがありました。





創業 二〇〇余年、老舗料理店の店主が見据える日本料理の未来

移り変わる世の中で伝統を受け継ぎ、守り続けていくこと。その本懐。


 「日本人は元来、とても繊細な感性を持つ民族なんですよ」。これからの日本料理、ひいては日本の食文化の在り方を訪ねた私たちに、ご自身が所属する日本料理アカデミーでの経験を語りはじめた中村店主。 「食感表現についての講習だったんですが、例えば、諸外国では多くても90数種類ほど。対して日本では、250種類ほどもあるそうです。料理に関することだけではありません。天気ひとつとっても細やかに言葉を使い分け、百にも二百にも表現の幅を広げる。それほど豊かな感性と能力で、歴史を作り上げてきたんです」。日本料理アカデミーで活動を続ける中で、日本語の豊かさ、奥深い情緒に、改めて気づかされ、京料理に対する考え方、代々引き継いできた店に対する想いも、より進化していったそう。

 「昔に形成された日本文化は、ゆとりある空間と時間の中で醸成されてきた物事が圧倒的に多いと感じています。時代が進み、便利に合理化される傍ら、情緒や風情といったものが失われつつあるんじゃないでしょうか。京料理だけじゃない。日本酒も含めて、今こそ正しい日本の食文化を、きちんと知ってもらう必要がある」と語ります。  2004年、日本料理アカデミーの創設は、まさにその想いの結実でもありました。京料理店の店主達が集まり、それぞれの立場で感じた様々な危惧を議題に、会合を重ねたことがきっかけで発足。当時、海外での日本料理に対する評価は『極東のエスニック料理』という程度のものでした。現代人の和食離れも大きな課題となっており、京都市が行った小学生の好きなメニューのアンケート調査では、主にハンバーグやカレーなどの洋食が上位を占め、和食はベストテンにすら入っていない事実に危機感を覚えたと言います。  極めつけは、日本国内の食料自給率40%・食糧廃棄率約75%という調査データ。愕然とする数字を目の当たりにしながら、改善されるべき事態は放置されたまま、表立って議論されることもない。「このままでは本当に日本の食文化が廃れてしまう」と焦燥感に駆られ、居ても立ってもいられなかったそう。  西欧に目を向ければ、遡ること100〜50年前、ガストロノミーで世界を牽引したフランスで、シェフたちが試行錯誤を重ねた表現が「歴史・食文化」を形成。そこから料理のトレンドは、20年前くらいまでが「食材」、10〜5年前くらいで「自然」が注目を集め、ここ数年では「サステナビリティ」へと向かっています。アカデミーでは、そもそも日本料理というのはサステナビリティを頂点として、すでに400年ぐらいの歳月を掛け、この三つ(歴史・食文化+食材+自然)を表現してきているのではないか、という考察のもと研究を深めています。古典にして最新。世界が今たどり着こうとしているテーマは、まさに日本料理の根幹に流れるものであったのではないか、と。  中村店主曰く「もともと京料理は持続可能な料理。『良い料理』というのは豪華な素材を羅列するものではなく、いうなれば『質素な食材を心豊かに味わってもらえるよう、心がけた料理』」なのだとか。

 その言葉を体現するがごとく、今回《DAITO》に合わせて仕立てた料理も、ひとつひとつの食材を見れば奇をてらったものでもなく、高級珍味でもありません。ただ研鑽を積んだ料理人としての彗眼で厳選し、経験と知識、感性で組み合わせの妙を探り、伝統の技で丁寧に調理することで、どこか馴染みがありながらも、《DAITO》の力強い味わいとも響き合う、「一子相伝 なかむら」ならではの繊細かつ大胆な一品へと昇華させているのです。  多様化する現代社会の中「伝統を守り続けてゆくには、既存の料理を見立て直して再構築することも大切。こうでなければいけない、という固定観念を取り払った先に、残り続けていく理由が見つかることも多い」と語る中村店主。クオリティを保ちつつ料理を提供し続ける秘訣を訊ねると、その答えは「何も変えないこと」。けれど、それは「同じことをし続けることとは違う」と言います。不易流行。常に現状に満足することなく、時代の変化も受け入れながら「素材と向き合い、様々な観点から見つめ直し、場面に応じて判断することが肝要。そうして裏付けを取りながら、料理を再び定義付けしていくことが、次の世代へ残していくことにも繋がるのではないでしょうか」。  さらには、正しい日本の食文化、真の日本料理を国内外の人たちに発信すること。そのために「広く認知してもらうことが大事なことだと、日本料理を受け継ぐ料理人の一人として強く実感しています」。幾度ミシュランの三ツ星に輝いていても、妥協することなくひたむきに精進を続ける姿、実直な言葉に、微に入り細を穿つ料理人の魂を感じることができます。


 グローバル化が進み西洋料理が華やかさを増す一方、時に引き算の美学を問われ、目に見えない仕事にも心血を注ぐ日本食を「最小限の素材で、最大限の旨みを引きだす。ミニマリストようなもの」と評する中村店主。便利さや合理性と引き換えに、日本の人々はどんどん忙しくなり、日常的に出汁をひくことすらしない家庭も多い。そんな時代において、真の日本料理を伝える老舗としての揺るぎない矜持を保ちながら、自身では大学卒業後に寺院での修行経験に加え、龍谷大学大学院にて博士号も取得。科学する料理人として、知見を深め、食の社会問題や企業との商品開発を実践しながら、技術や精神性の伝承だけでない、日本料理の新たな可能性や道筋を模索しています。


 そんな中村店主が取り組むアカデミーの活動のひとつに、日本料理の海外での普及と発展を見据えた体系化整備があります。これは実際に、様々な国・地域へ足を運び、現状を把握。「海外では、和食を知らない人が想像で作る日本料理が本物として定着していたり、日本食ブームの到来で一斉に増えた和食店のメニューが全く別物だったり。実情を知って、愕然としました」。以降毎年、海外から和食の勉強を熱望するシェフを数人招いた『フェローシップ(特別研究奨励)制度』を実施し、研修を行っていると言います。

 募集では、真摯に日本料理と向き合う姿勢のシェフだけを吟味。料理人同士、言葉を超えて分かり合えることも多いのでしょう。本場の技術だけでなく、精神性をも習得した教え子たちは、帰国後に揃って「和食は凄い」と絶賛。彼らのレストランがミシュランで星を獲得するようになると、ゲストはもちろん、他店のシェフにも和食の本懐が伝わりはじめ、海外での評価を揺るぎないものする契機にも繋がりました。




日本料理と日本酒、切ってもきれないその関係性


世界無形文化遺産に認定されたことで脚光を浴びた日本料理に対し、個々で気を吐く酒蔵はあるものの、その現状は揚々たるものと言いがたい日本酒。ビールが市場のトップを独占し、寿司にワインを合わせるスタイルも当たり前となった今、かつての需要を呼び起こすべく、何か打開策となるアイデアはないか、中村店主に質問を投げかけてみました。

 すると「確かにワインを頼まれる方もいますが、冷酒を頼まれる方が増えてきましたよ」と嬉しい返答が。国籍を問わず、日本酒のメニューを片手に「ペアリング」というワイン用語で、お薦めの取り合わせを求められることも多いとか。「ワインと同じように、日本酒にも色々な種類はありますが、元が米ですから、正直どんな料理にも合ってしまう。だからフルコースでペアリングしてと言われると、凄く悩むんです。中には、気に入った日本酒を買って帰りたいというお客様もいてね」と頬を緩めます。《DAITO》も選ばれる一本になれたら…という気持ちを察してか「海外に行けば、そのままで十分評価されると思いますよ。日本酒に対する既成概念がない分、金額的にも現代に見合った評価をしてくれるかも。販路という側面から見ても、まず圧倒的に市場規模は大きくなりますよね。世界に一歩踏み出すのも良いでしょうし、近年増え続けている飲まない(飲めない)客層を意識した日本酒を開発することで、間口を広げる方法も考えられます。業界全体の盛り上げを考えるなら、我々同様『日本酒アカデミー』のようなものを立ち上げてみたらどうでしょう。きっと同じように危機感を持った酒蔵さんは沢山いると思いますよ」。鋭い見識と機知に富んだ一言に、心地よく会話が弾みます。それは、中村店主が作る特別な一品×《DAITO》のペアリングで体験できた、まさに一期一会の時間でした。






料理長 中村元計(なかむら もとかず)

6 代目の中村元計店主は、1984年に東京水産大学(現東京海洋大学)資源増殖学科を卒業後、臨済宗総本山、嵯峨嵐山・天龍寺僧堂にて2 年間の禅修行を経たのち、24 歳の頃に生家へ戻り料理人として研鑽を積み、父から「一子相伝」の味を受け継ぎました。また、日本料理アカデミー創設時より精力的に国内外での日本料理の発展に取り組まれ、2013年には京都大学修士課程、2018年には龍谷大学博士課程に進み、食農化学博士号学位を取得。 日本料理における油脂成分のもたらす嗜好性の変化について研究を進め、伝統的な京料理を科学的合理性に基づいて探求し続けていらっしゃいます。


一子相伝 なかむら

〒604-8093 京都市中京区富小路御池下ル 電話:075-221-5511 営業時間:【昼】12:00~14:30      【夜】17:30~21:00      (アルコールの提供は閉店の30 分前まで) 定休日:不定休 www.kyoryori-nakamura.com






「食文化を豊かにするプレミアムな日本酒」を表現したこだわりの最高級酒


 五十周年を迎えた酔鯨が、その記念すべき年に最上の素材と高度な製造技術を駆使した最高級酒「酔鯨 純米大吟醸 DAITO 2022」を開発しました。

 その華やかな口福感と極上の味わいは、二○一八年ロンドンIWC にて金賞を受賞した酔鯨ハイエンドシリーズの最高峰酒。また二○○二年度は、TAKAYUKIYAMADA 氏がプロデュースを務める空間演出ブランド『FORIEDGE』とコラボレーション。上質な味わいとイノベーティブなグラスアートが織りなす最高の時間をお楽しみください。


DAITO「三つ」の製法へのこだわり ◉兵庫県東条産特A地区特上山田錦を三○%まで磨く

日本最高峰の酒米、特上 山田錦(兵庫県加東市東条町(特A地区))を精米歩合三○%まで磨き使用しました。 ◉二種類の酵母で醸す お酒を搾る工程で最も香味が優れた部分である〝中取り〞だけを特別に採取し、これをフレッシュなまま低温貯蔵することで、出来立ての美味しさを実現しました。 ◉中取りだけをフレッシュなままボトリング

お酒を搾る工程で最も香味が優れた部分である〝中取り〞だけを特別に採取し、これをフレッシュなまま低温貯蔵することで、出来立ての美味しさを実現しました。

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